第4章 ゴゴゴゴゴ
「私達一族はこの指輪と血の盟約を結び、初めて魔術が作動するの」
「じゃあエリナは魔法使いなの⁉」
つぶらな瞳をキラキラと輝かせて尋ねるベポにエリナはつい笑った。
「うーん、まぁそうとも言えるのかな。ただ盟約を結んだ私は命ある限りに次の主を決めないと私が死んだらこの指輪はただの飾りになっちゃって力を失うの」
「だから血で濡れた指輪なんて言われるのか…」
ペンギンは恐ろしそうに告げた。
「物騒な物よね…代々継がれてきたものだけどもう私で最後にしようかな」
「どうしてだ?」
ペンギンが腕を組み尋ねる。
「だって研究って建前で本当は化学兵器だの国家勢力だの、政府は血眼になってこの力を求めてる。本来は攻撃するものじゃなくて身を守るものだったのに…」
「俺だったらそんな最強パワーGETしたら全頼りだけどな〜」
シャチは明後日の方向を見て、決して手に入らない力に身を悶えていた。
「ふふ…重いわよ。だから私は武術も身につけたし、銃も携えてる、二つね。私海賊じゃないのに」
「へぇー凄いねエリナ、どんな魔術が使えるの?」
丸い瞳をキラキラ輝かせて尋ねるベポ。
「そうね、妖術、暗示や幻覚と言った所かしら?妖術には植物の蔦を生み出し攻撃する事もできるけど、それはあまり使いたくないの」
「しかし何で慈しみの魔女って呼ばれてんだ?」
「よくぞ聞いてくれたペンギンくん。そう呼ばれるのは不本意なんだけど、私は孤児院を作って貧しかったり不自由な暮らしの子供達の面倒見てるの。だからかな?」
「お前いい奴だな…!」
世間で恐るる血に濡れた慈しみの魔女。
その通り名とのギャップに男泣きのシャチとペンギン。
しかしそんな様子を遠くから冷ややかな視線で見つめるロー。
それに気付きエリナは数秒考えふけた後ハッと思い付き、にたりと笑った。