第4章 ゴゴゴゴゴ
「恐らく次に近い島へは早くて一週間だ」
「………お世話になります」
「まだ何も言ってねーだろうが」
「…鬼め」
「ああ?今すぐ海王類の餌にさせてやろうか」
「キャプテン!エリナは怪我してるんだし…」
二人の会話は売り言葉に買い言葉で今にも手のつけられない事態になりそうで見ているこっちがヒヤヒヤしていた。
慌ててベポがなだめるもエリナはニコッと笑い手をさし伸べる。
「さっきは運んでくれてありがとう、ベポくん」
「ベポでいいよ、エリナ」
握手を交わしてから隣にいる帽子を被った二人へ目線を移す。
「えーとサングラスをかけてる君が…」
「シャチだよ、よろしくエリナ」
「俺はペンギン、副船長だよろしく」
その名前が帽子にも刺繍されていて分かりやすいけど自分大好きなんだなーとエリナは笑顔の裏にのせた。
「えーと私は、ロードナイト・エリナ。旅人で世界を放浪中です」
「「嘘つけェェ!!!!」」
「あれ?ばれてるか」
屈託無い笑顔と気さくな立ち振る舞いは世が想像する魔女の姿とは程遠かった。
「えーと、ローのお仲間さんだから告白しますが私は魔女の一族の末裔です」
「慈しみの魔女“ALIVE ONLY” 懸賞金二億ベリー」
壁に寄りかかり不敵な笑みを向けて言い放つロー。
「生け捕りが条件なんだよな?」
「ええ、政府に海賊に賞金稼ぎに追われる毎日。世界は私に流れる生きた血が欲しいからね。私が殺されてはこの指輪は主を失い、ただの指輪になる」
エリナが皮の手袋を外すと、左手の中指に飾られた指輪が現れた。
細やかな彫刻が施され中心には薔薇の形にカットされた深紅の石。
その赤色は鳩の血のように濃く深く人間の本能、エネルギーを駆り立てられるよう。
誰もが息を飲み、見惚ていた。
「うわぁ…お目にかかれるとは…な」
鳥肌の立つ腕をさすりながら呟いたシャチ。
その指輪の美しさと計り知れぬ神秘的な力を追い求める海賊は数知れない。