第24章 まだ手は出さない…お前から求めるまでは、な。
瞑想が済んだ後、エリナは晴れやかな気分で部屋へと戻った。
なんて清々しい!
木の一部となる事で自然の持つ素晴らしさと何事にも動じない偉大で屈強な精神を改めて勉強させられる。
そうだ。
この船には自然が欠如している。
自然をもっと身近に置き、その大地のエネルギーを教えなければ!
エリナは奮い立ちそっと左手の指輪へ呪文を唱えた。
「モスアゲート」
突如壁や床、天井から這うように姿を表した草花や木々達。
部屋は一瞬にして植物だらけのジャングルへと姿を変えた。
「…うーん、でもちょっと狭いな」
首を傾げ考え直したエリナは部屋の隅に花と観葉植物の鉢を並べるだけに変えた。
「うん!これでいっか」
気が良くなりノッてきたので、船の甲板や廊下にまでも植物の姿を投影させた。
幻覚術を使って。
「ん、なんだこれ」
ペンギンは倉庫の前にある見慣れない観葉植物に首を傾げた。
「…誰か買ったんだろうか、あ、キャプテン」
「どうしたペンギン」
立ちすくむペンギンの前には見たこともない観葉植物の姿。
「これキャプテンが買ったんすか?意外な趣味っすね」
それを見てすぐさま浮かんだある人物。
「えっ、ちょっとキャプテーン!」
ペンギンの呼び掛けには答えず、ローはすぐさま踵を返した。