第23章 それだけは言っちゃだめだベポ!!
「キャプテンエリナがご飯作ってくれるようになってから本当に食堂へ来るようになったよね〜」
いつもの席にどかっと腰掛ける彼にベポは感心を乗せて心からそう呟く。
「悪りぃか」
「ううん、だってエリナの料理美味しいもんね!」
その点にローは特に返事をしなかった。
エリナはローの姿を見て一瞬体が固まる思いがしたがここは平然に冷静に、お粥をお椀へよそいローの元へ足を進める。
無言で差し出した。
目は明後日の方向を向いて。
そんな彼女の分かりやすい態度にローは喉をクツクツ鳴らして愉快そうに笑っていた。
「…いただきます」
背中でその声を聞く。
食事中、準備が出来次第島を経つとローは皆に告げた。
欲しかった情報が得られたのか、そうでなかったのか。
どちらにせよ必要な物は昨日買い揃えているし問題はない。
皆が食堂を後にし、片付けも済ませた所でエリナは大きく息を吐いた。
駄目だ…!
シンクに腕を立て、大きくうなだれる。
和解もして別にやましい事もないのにローとなんて顔して会えばいいのか分からないし、目を合わせられない。
全く自分で驚く程乙女な心中にサブイボが立つ。
私って、こんなキャラだったっけ…
忍耐と精神が甘いのだ。
己の不甲斐なさに瞑想でもしようかと決めたのであった。
その後島を発った一行はエリナの奇怪な行動を目撃するのであった。
「おい…エリナ何やってんだ?」
「知らねぇよ…とにかくずっとあんな感じなんだよ」
甲板でペンギンとシャチが見据える先には、この船の上にあるはずのない鬱蒼と生えた植物の一帯。
エリナの魔術により生い茂るその真ん中には大きな一本の大木がある。
その木に包まれるように一体化したエリナが顔だけを見せて目を瞑っていた。
「きっと…何かの訓練か修行なんだよ…その…一族に代々伝わる」
「あ、ああ…木になれるなんてすげぇな……しかし変わってる…」
「あれ?エリナ着ぐるみなんて着て何やってるんだろう?」
「「それだけは言っちゃだめだベポ!!」」