第22章 ほっときゃあとんだ言われようだな。
部屋に引きこもっていたらシャチとベポに飲みに行こうと誘われたが気分が乗らなくて断った。
代わりに船番だったジャンバールに譲り、ローとペンギンもどこかへ行ったらしく今は船に私一人しかいない。
皆出払った船の上は酷く静かで、たまに岩場に寄せる波の音に耳を立て甲板で風に当たれば冷たい夜風が心を落ち着けるには丁度良かった。
ふと思えば考えるのはローの事。
別に喧嘩がしたかった訳ではないのに。
でも黙ってもいられなくて私も感情が露わになって。
ますます気まずい雰囲気になってしまった。
…あのキスはじゃあ何だったの。
ローに触れられた唇をそっと指でなぞる。
少し頬が紅葉して、同時にファーストキスだと知られてしまった事を後悔する。
あんなローの男の顔初めて見た…。
私が知らない彼の顔を知り、胸が少しうるさい。
まぁローはモテるだろうし、別にキスの一つや二つどうって事無いんでしょ。
でも私は…初めてだったのに。
男性経験の乏しい人生を改めて省るとため息が出る。
てゆーかなんであんなに怒られなきゃいけないんだ!
さっきから感情が支離滅裂している。