第21章 そしてあいつに嫌われた。
ったく…
呆れ返りながらローは一人夜の街を彷徨い始める。
情報収集の続きを、と思っていたが気分も変わり数歩移動しただけで新しく群がり出す女達が鬱陶しくて今夜は船へ戻る事を決めた。
以前は女に興味がなかった訳ではない。
女=セックスドールで島に上陸すれば野郎ばかりの船旅で溜まったものは発散していたし、一夜限りで泣かした女も山程いる。
その代わり特定の女をそばに置いたり一人の女に固執した覚えもない。
しかし今は、どんなに良い女や色気に溢れた女が誘ってきても、寧ろ疎ましく感じる。
エリナと再会してからだ。
最近あいつの仕草や態度がいちいち気になり出し、気付くと俺は医学と船の事よりあいつを考えている事の方が多い気がする。
こうして夜の街に身を委ねるけど強烈な虚無感に溺れて、またあいつを想う。
この焦燥感はなんだ。
どこか落ち着くあの声に、これほどたまらなく会いたいと思える。
ーー気持ち悪ィ
自分を支配する感情に吐き気がする。
肯定したくないが否定もできない、何故なら夕べその感情が態度になって現れた。
知らない男に近い距離で笑顔を振りまくエリナを見て俺は酷く気分が損なわれた。
なんだよあの笑顔…
支配欲、独占欲
そんな言葉では片付けられないような感情が込み上げて来て、俺は苛立った。
そしてあいつに嫌われた。