第20章 意味わかんない。
「僕もそれが好きでね。そのハーブはこの園内で栽培されているものみたいだよ」
白い肌が目立つ透明感を持った青年だった。
青い瞳と絹のような金色の髪が夕闇じゃなくて太陽の下だったらもっと美しいんだろうな、なんて思った。
「へぇ、そうなんだ」
酷く中性的で、男らしいより美しい、そんな台詞が似合う青年にエリナはニコッと微笑みかける。
「貴方も植物が好きなの?」
「うん。ここにはないんだけど特に食虫植物が大好きなんだ」
「え⁉そうなの⁉」
食虫植物、そのワードにエリナはつい飛びつく。
なぜなら無類の食虫植物マニアだからだ。
「その反応だと君も好きそうだね、何なら僕のコレクション見る?」
鞄からカメラを取り出してこちらへ微笑む青年。
エリナはふた返事だった。
「見るっ!」
青年の座るテーブルの空席に移動し彼のそばへ近づきカメラを覗き込む。
「うわー!ハエ取り草じゃない!」
「ふふ…これは僕の自慢なんだ。こっちはね…」
青年のコレクションは中々上級で、エリナがまだ見た事ない植物もあって、つい興奮してしまった。
一つ一つ日頃の手入れや自生していた場所など説明付きで紹介してくれるからエリナは青年の話に夢中になって耳を傾けていた。
気づけば先程までの浮かない顔もどこかへ消え今は飛び切りの笑顔。
二人の距離の近ささえ、気にも留めず。
そして誰かに目撃されているとも知らず。