第19章 ここまで頼んでないっ!
すっかり夜も深くなり、今だドンチャン騒ぎをして二日酔い決定の皆を横目にエリナはシャワーを浴びたかった。
だが、どうしてもローと顔を合わすと苛々してしまってお風呂さえクルーが使う方を選ぼうとした程だったが、やはりローの部屋に備えてあるシャワールームを選んだ。
みんなが飲み騒ぐ中にその姿が途中からなかったので今度は一応ノックをしてローの部屋へ入る。
「いたんだ…シャワー借りるよ」
酒をそばに置いて本を読んでいるローにそう短かく告げながら横を通り過ぎる。
特に返事はなく、エリナはシャワールームのカーテンを閉めた。
あーダメだやっぱりムカつく。
あの変態野郎…
根に持つタイプなんだと思いたくなかったが、この件は置いておけない。
思い出すだけで赤面するわ苛々するわ、最悪だ。
そんな事を思いながらシャワーを済ませ、新しい部屋着に袖を通しカーテンを開ける。
本を読み続けているローを横目に無言を貫きサッサとみんなの元に戻ろうかと思っていたのに。
不意に呼び止められてそれは叶わなかった。
「そういえば、湿疹はどうだ」
「え?」
一瞬そう言われても思い当たらなかったが、そういえばペペロミア島に上陸する前ベポが釣り上げたチョウチンアンコウに刺され、全身赤く腫れたんだっけ。
「なんだ…もうそんなの治ったよ」
結構前の事で、私でさえ忘れていたと言うのに。
「…見せてみろ、跡があるかもしれない」
「……」
渋々ローの元へ歩み寄り腕を捲る。
自分でも気づかなかったが、良く見れば少し跡になっている所もあった。
「お前肌白いからな…目立つなこれ」
腕の跡を見つめ呟くロー。
「これ効くから塗っとけ」
棚から取り出した小瓶を渡される。
「…ありがと」
それを受け取りエリナは自室へ戻るー
と見せかけ、ローの頬っぺたを思いっきり両手でつねった。