第18章 最高の褒め言葉だな。
エリナは与えられた自室で自ら選んだ家具のセンスに満足しながら暫くソファでリラックスしていた。
ペペロミア島を出て船体も安定したようで今は穏やかに航路を歩んでいる。
エリナはさっそくとローが用意してくれた洋服を引っ張り出してみた。
なかなかオカマの店員のセンスは常識的で奇抜な物は入っていなく安心した。
防寒具やインナー、部屋着も入っていてその充実振りについ頬が緩む。
下着まで入っていて、形や色もまぁまぁ一般的で抵抗はない。
サイズはどうなのかと不安に思ったが不思議な事にジャストサイズだった。
何故…
恐るべしオカマ…
下着を全て取り出したと思えば、紙袋の一番奥にまるでその存在を知られたくないかのように奥底に眠るものを発見する。
ん、何かしら。下着?
手を伸ばし取り出すと、一つかと思えば複数あった。
が、
「なんじゃこりゃ⁉」
エリナは広げた二組の下着を見て目を見開き凝視した。
一つは黒色で総レース。
隠すべき大事な所が透けていて、ガーターベルト付きだ。
もう一組はピンク色で腰の紐を結わえて履く、つまりひもパン。おまけにTバックでベビードール付き。
とりあえず並べてみた上下セットの下着達。
なんとも卑猥でどう見てもピンクなお色気がぷんぷんと漂う。
あの野郎ッ…!
向かうべき相手は一人しかいない。
「ちょっとロー!」
ローの部屋へと続くドアをノックもせず豪快に開け放つ。
すると彼は机に向って薬を調合していた。
突然の妨害者にローは眉間に皺を寄せ、ギロリとこちらを睨む。
その攻撃には慣れたわよ!
鋭い視線を物ともせず、エリナはローのそばへズカズカと駆け寄り、目の前にその下着二組を突きつける。
「何よこれ⁉」
「ああ?」
突きつけられたそれに調合する手を止め、目を凝らしジッと見つめる。
理解したローは、にたりと怪しい笑みを浮かべた。