第17章 守るも何も子守だな。
「ここはお前の部屋だ、全部自分で選んだんだからな…文句ねぇだろ」
「うわっ本当だ!これ昨日私が選んだやつじゃん⁉」
ベッドやソファやら何もかも、昨日ローに言われて選んだもの、その全てだった。
全くローのくせに手が込んでるな。
あまりの展開に驚きつつも、じわじわと感謝の気持ちがこみ上げてきて。
「こんな豪華な扱いしてくれなくていいのに…」
選んだものが実際に部屋を飾ると、想像以上の良い雰囲気に自分でも満足した。
「シャワーは俺の部屋のを使え。あの扉から行ける」
指さした場所を見やると、部屋の中にあるもう一つの扉。
ははは、軟禁じゃないか!
「あと、飯はお前も手伝え、それから俺が命令したどんな雑用も全て引き受ける事だな」
「はーい」
「おら、あとこれ」
「ん?」
おもむろに投げ出された二つの紙袋。
そこから見えるのは、色とりどりの洋服だった。
「これ…」
「あの変装で世話になった所のオカマに任せた。文句言うなよ」
飴と鞭が御上手なようで。
でも素直に嬉しかった。
しかしローが一人であのお店に出向いて、一人でレディース物を買い漁る光景が面白すぎる。
「おい、聞こえてんぞ」
「え⁉」
どうやら可笑しすぎて口に出ていたらしい。
無意識って恐怖だ。
こちらを睨みつける泣く子も黙るその顔が恐ろしいので、暫く黙っていよう。
「おいお前ら、ぼけっとしねぇで各自持ち場に付け、まだ航路は安定していない」
「アイアイキャプテン!」
「おう!キャプテン!」
そしてエリナをメンバーに迎えたハートの海賊団は、新しい旅をスタートさせた。