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医者と魔女

第17章 守るも何も子守だな。





「よしっ、私も旅を始めますか!」

元気を貰った所で踵を返し、旅の支度に意気込む。

「そういえば電伝虫貰ったんだっけ」

この島に降りてからローに貰った電伝虫。
今も鞄に入ったままだが、多分くれたものだしこれからも持ちつづけよう。

何かあった時に連絡がとれる。

「よーし!私も頑張るぞ」

天を仰ぎ、気合いを入れた時だった。


「ーROOM」

「ん」



私を中心に包み込む、薄い膜のようなサークル。

これには非常に見覚えがある。

「シャンブルス」

既に遠くにいるはずのあの声が、耳元でしたその直後。


島は?街は?さっきまで歩いていた林道はどこへ行ったのよーーー!!!????



「あ、…あのー…」

「クスクス…」
「ぷぷっ…」
「くくく…」


何度瞬きをしても、その光景に変わりはない。
私が踏みしめるのは草木が生い茂る大地ではなく見慣れた船の床。
そして目の前には笑いを堪えるペンギンにシャチにベポにジャンバール。

それから腕を組み仁王立ちでほくそ笑むロー。

その笑みまさに冷酷極悪人。
犯人は言うまでもない、この男、トラファルガー・ローだ!

あんたこんな能力まで使えんのか!

「どうやってやったの?」
「空いた酒瓶と入れ替えた」
「へぇ凄いね。えーっと…さっきの別れは…芝居?」
「ああ、そうさ」

いやいやそんな自信たっぷりに言われても。

ベポを見ると、彼は気まずそうに目を逸らした。

「ベポ」
「ごめんエリナ!だって俺たち…まだまだエリナと一緒に旅がしたいんだ!」
「そうだよエリナ!超楽しかったもんな?この一週間!」
「ああ、超楽しかった!また釣りしてぇし、手料理食べたい!」
「俺の料理の腕前もあんたのおかげで上がる」


「みんな…」


ベポを皮切りに思い思いの感情をぶつけてくるクルー達。

熱い眼差しをのせたその告白にエリナは嬉しかったが困惑した。
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