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医者と魔女

第17章 守るも何も子守だな。







エリナと別れた晩、ハートの海賊団は街中と船内を忙しなく動き回っていた。



「キャプテーン!お待たせっす」
「ああ…悪かったな、こっちに運べ」

日中買い込んだ家具を運んできたクルー達はローの指示により部屋へどんどん設置していく。

「エリナ結構センスいいな〜」

仕上がってきた室内の雰囲気にシャチは額の汗を拭いながらこぼす。

「明日が待ち遠しいね」

ベポがカーテンを通しながら嬉しそうに笑った。





ーーーペペロミア島、ハートの海賊団出港の朝。




エリナは眠い目をこすりながら、朝靄のかかる街を港に向かって一人歩いていた。

未だ街は眠っていて、遠くから鳥のさえずりが聞こえる。

水面の地平線に朝日が上り始めていて、そのオレンジがとても眩しかった。

岩場を抜けたその先に、船舶する黄色い船。

みんな慌ただしく出港の準備をしているようだった。

錨を上げていたベポがエリナに気付く。

「キャプテン!エリナ来たよ」
「やっぱりあいつは期待を裏切らねぇな」

シナリオ通りの展開に口の端をつり上げこちらへ歩み寄るエリナを見つめるロー。

「エリナー!来てくれたんだ!」

ベポが船首から身を乗り出して手を振っている。

「挨拶くらいしようかと思ってね!」

ベポは身軽に船首から飛び降り華麗に着地を決め込んだ。

「エリナとお別れなんて…寂しいよ」

つぶらな瞳が濡れていく様子にエリナも胸が締め付けられる。

「…私は気ままに旅するわよ、元気でね?」

ベポとハグをしている光景にシャチはついイイなぁと漏らした。
そこをギロ、と一睨みしているローに気づきシャチはつい肩をすくめる。

「もう行かなきゃ、エリナ!元気でね!」

満面の笑みを返事にして。

「エリナー!元気でなーー!!」
「楽しかったぞー!またなー!」

手を振って別れを告げるハートの海賊団。
後ろの方で腕を組んでこちらを見るローがいた。
その顔はどこか凛々しくて頼もしいような。

手くらい振りなさいよ!

「じゃあねーーー!みんなー!」

だんだんと遠ざかるその姿を見つめ、エリナはふぅ、と息を漏らした。
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