第3章 てへ☆
「きゃ、キャプテンこいつ慈しみの魔女エリナですよね…⁉」
「ひ、久しぶりって…知り合いなんすか⁉」
ペンギンとシャチはエリナを指差し奇怪な眼差しで顔を青ざめさせた。
ローはこれといって動じない様子で短的に告げる。
「いや、赤の他人だ」
「「「ええええーーー⁉」」」
その突っ込みには思わずエリナ本人も参加した。
「素直じゃないのねロー。せっかくの旧知との再会なのに。ていうか見たでしょ、早く逃げた方がいいわよ」
「そういうお前は、血だらけで何してんだ」
「ちょっと思いの外歩けなくて…」
手のひらで隠された足首には他より大きいガラスの破片が刺さり皮の黒いパンツは血で滲んでいる。
一目で深く刺さってるいるのが分かった。
「…馬鹿野郎、相変わらず学習出来ねぇんだな」
「うるさいわよ」
「キャプテン…そろそろ」
後方を気にし、促すペンギン。
「そうだな…お前船はどこだ、立てねぇなら…」
「オンボロだったから、流されちゃった☆」
「「ええええーーー⁉⁉
☆いらねぇーーーーーー!!!!」」
二度目のキレッキレの突っ込みを他所にエリナは“てへ”とでも言わんばかりに小首を傾げる。
「馬鹿か⁉」
眉間の皺は深く呆れるロー。
貼り付けた様な面倒な表情をのせ盛大に舌打ちをした。
「ここは新世界だぞ⁉お前ここまで来た事を疑うぜ」
「うん、ほんと私もそう思う自分の運の強さに」
「…はぁ、ったく、……ベポ、連れてけ」
「アイアイ!」
「ええ⁉連れて行くんすか⁉」
ベポに担がれるエリナを見、突然の事態にペンギンとシャチは困惑。
「安心しろ…こいつとは古い知り合いだ、危害はねぇ、……はずだ」
「「歯切れ悪ッッッ!!!!」」
「あははっ面白いね、チームワーク抜群じゃない」
先程から見せるローを取り巻く仲間達の間髪入れない突っ込みにエリナはそれどころではないのに可笑しくて笑った。
「とにかく急ぎましょうキャプテン!」
「ああ、そうだな」
ペンギンのそれを合図に一行は弾かれたように足を進めた。