第3章 てへ☆
「なんか辛そうだよ、怪我してるのかな」
「当たり前だ、生身でガラス突き破れば」
「大丈夫?さっきはありがとう、おかげで逃げてこれたよ」
そばへ駆け寄るベポの気配にエリナはゆっくりと顔を上げた。
「え?ああ…あの酒場にいたの?ていうか白熊が立って喋ってる…⁉」
「熊ですいません…」
目の当たりにした光景をエリナは凝視した。
加えてさっきまでハツラツとしていたのに肩をがっくり落とし落ち込む白熊に何だこいつ、打たれ弱ッと感想を持つ。
そして白熊の後ろからこちらに鋭い眼光を放っている男に気付きエリナは喫驚した。
「その帽子に極悪顔…ロー⁉」
「一言余計なんだよ、てめぇは」
第一声に呆れ返るロー。
「ちょっと久しぶりじゃな…イテ」
僅かに顔を歪めるエリナ。
「大丈夫⁉あ…凄いガラスが刺さってる」
全身肌や衣服の上から突き刺さるガラス。
慌てふためくベポを他所に、口をパクパクさせ固まる二人組がいた。