第15章 却下だ、理由がねぇ
「はぁ…でも明後日この島を経てばエリナとも本当にお別れか…」
いつの間にか席についていたペンギンが小さく零した。
その悲しみはあっと言う間に伝染し、
「キャプテン!僕エリナのオムライスまた食べたいよー!」
いつから話を聞いていたのか背後からベポまでも、ぐずり出す。
「釣りした時も楽しかったな」
「エリナからはまだ料理のテクニックを盗みたかったぜ」
シャチとジャンバールが続く。
「つまり、あいつを船に乗せろと言いてぇのかお前ら?」
口にした瞬間クルーから浴びせられる乞う眼差しと僅かな期待。
しかし、あえなく却下される。
「却下だ、理由がねぇ。あいつは強い決心がない限り誰かと一緒に行動するタイプじゃねぇからな」
「ええ〜⁉」
一斉に肩を落とすクルー達。
しかし、救いの手が差し出される。
「そんなに連れて行きてぇなら理由を考えろ」
ローの短い指示にクルー達は必死にしがみつく。
「オムライス!…いや手料理がもっと食べたい!」
「また釣りしたい!」
「一緒にお昼寝したいし、エリナとこれからも旅をしたい!」
各々に主張するクルー達の真剣な眼差しを冷静に見つめる。
ため息を一つついて、酒を流し込む。
「じゃあ後はどうやって船に乗せるのかを考えろ、意見がまとまったら俺に伝えろ」
かくしてクルー達の作戦会議は始まったのだ。