第14章 面白れぇもん…見せてもらおうじゃねぇか
「はぁ…、オズ⁉」
弾かれたように倒れる少年のそばへ駆け寄るエリナ。
どうやら運良く弾は肩を掠めただけで、僅かながら息を確認出来た。
「急いで治療しなきゃ!」
「あ、ああ…そうだな!キャプテンに!」
ペンギンは急いで平常さを取り戻す。
遠くから見ていたロー達も合流し、ローはオズを抱えペンギンと共に船へ急いだ。
「早くみんなを出すわよ!」
「おう!」
「アイアイ!」
幌を勢いよくめくればたくさんの子供達の姿が。
皆目は虚ろで、何も言葉を発しない。
「みんな!目を覚まして!家に帰るわよ!」
「目を覚ましてくれ!」
一人一人の肩を揺らしながら、生気の感じられない瞳に必死に訴えかける。
「…ぅん…あれ…?」
「あれ?僕何してるんだろう…」
「…良かった…!」
願いは届き、段々と自我を取り戻す子供達。
能力者の張本人が死んだ事で、皆簡単に暗示は解けた。
「うわ!熊が喋ってる⁉」
ベポに起こされた少年が叫ぶ。
「熊が喋ってすいません…」
「「打たれ弱ッ!!」」
エリナとシャチが突っ込んだのは言うまでも無い。
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「エリナ…船の到着を待たなくていいのか?」
解放された子供達が家へ向かい家族と再会する光景を遠くから見つめながらシャチが訊ねる。
つまり、子供達を連れ去って行く船の奴等を倒さなくていいのかと。
「きっと不思議に思ったあいつらは社へ行く筈よ…中を見たら答えはわかるでしょう。それにあいつらは世界中から商品を集めている…奴らを始末した所で現状は変わらない」
エリナは唇を噛み締め拳を固く握った。
「そうだな…シラミ潰しした所で、何も変わらないか」
この世を疑う。
天竜人の愚かな悪趣味。
俗世、権力、不平等。
いつになったら後を絶つのだろうか。
消滅させる。
エリナは今一度、自らの目的を奮い起こした。