第3章 てへ☆
「ていうかキャプテン、何で青キジなんているんすか〜⁉」
「こっちが聞きてぇよ、とにかく今は急いでこの島を出る事が先だ」
「せっかく酒が飲めると思ったのに…」
ハートの海賊団一行は雷鳴の中停泊中の船へ全速力で向かっていた。
早急な事態なので船番のジャンバールには電伝虫で連絡を済ませ出港の準備は出来るだけ整えた。
「青キジの登場は誤算だった…今はやりたくねぇ」
とは言うものの、ローの心中ではエリナの影がちらついていた。
新聞や巷で飛び交う情報こそ耳には入るがその姿を見るのは数年振りで。
決して感動の再会なんてことはないが。
ただ彼女が派手なアクションを起こしてくれたおかげで、自分達も逃げるタイミングが図れ、後はこの島を無事に脱出出来ればいいがこの嵐。
店に入る前は雨粒一つ無かったのに。
全くついてない。
「だけどキャプテン、この嵐で海も荒れてるし上手く逃げられますかね…ログも溜まっていない」
ペンギンの言う通り、見えて来た海は大荒れ、白波が高くうねっている。
酷い状態だった。
「うるせぇ、何としてでも出るぞ」
船まで数百メートルの所で、ベポが何かを発見し声を上げた。
「あっ、見てキャプテン!あれ…さっき青キジの隣にいた子じゃない?」
「あ?」
雨で視界の悪い先を凝らしてよく見ると、うずくまる一人の女がいた。
ずぶ濡れで足元には血が滴っている。
紛れもないエリナだった。