第13章 生憎格違いなんだよ
「…鬱陶しかったぜ」
ローも変装を払い、愛刀に手をかける。
マントを選んだのはローの刀を隠すのに最適だったから。
「そんなの、私達には効かないわよ?覇気をまとえば、ね」
「さっさとケリつけるぞ」
全てを欺かれ行き場をなくした国王は開き直った。
「ハッ…そうさ!俺はサイミンの実を食べた暗示のスペシャリストさ。神なんて信じる輩が悪い!」
「………」
「しかし俺の力はまだまだ序の口だ、いくら覇気使いと言えど限界があるだろう」
高らかに笑いまた瞳の色を変えた国王。
だがエリナは冷静に国王の肩へ銃を放った。
「ううっ…何故効かんのだ⁉」
エリナはローをちら、と見やる。
「ーROOM」
ラザールを中心に辺りを包む半円球の空間。
抜刀された鬼哭が勢いよく振り払われる。
「ぎゃあぁぁ!」
椅子や壁諸共巻き込んだ太刀筋はありとあらゆる物を真っ二つに斬った。
別々にばらけた上半身と下半身を前に青ざめるラザール。
「生憎、格違いなんだよ」
「ヒュー♪」
また刀を構え今度は何度も斬りかかる。
「ぎゃああァァァ!!!やめろー!」
見るも無残にバラバラになってしまったラザール。
ごとりと落ちた首が辺りに散らばりジタバタもがく腰や足、腕を見て発狂している。
「うえ…噂には聞いていたけど気持ち悪いわあんたの能力」
「お前に言われたくねぇ、さっさと決めろ」
「そうね」
エリナは首だけでのたうち回るラザールの髪を掴み宙へ引っ張り上げた。
近くで見ると切断されているのに血は一滴もなく、喋る生首に鳥肌が立つ。
「この国にやってきた目的は何?人身売買で宗教を偽装し金儲けしていた、これで間違いないかしら?」
「うっ、うるせぇこのアマァ!」
バァン!
「あっ、俺の胴体⁉」
この場に及んで往生際の悪いラザールの胴体をエリナは銃で撃った。