第13章 生憎格違いなんだよ
一方ペンギンとシャチは街の住民達に国の事や聞き込みを続けていた。
しかし皆神の声が聞こえる国王を信じ、奉納として生贄を差し出す事に何も躊躇いを感じていなく、寧ろ光栄に思っているようだった。
「自分の子供なのになぁ」
「本当に皆操られてんのかな」
一向に良い情報を得られない二人は、やっぱり神は本当にいるんじゃないかと半ば諦めかけていた。
しかし事は一変する。
「おい…!あれ見ろよペンギン!」
「あ?」
シャチが何かに気付いたようで、少し興奮気味である一点を指差す。
すると森のたもとから街の方へ向かってくる一台のトラック。
遠目からだが、荷台の幌の隙間から子供が顔を出していた。
「!」
ペンギンとシャチはお互い顔を見合わせた。
指をパチンと鳴らす。
二人はすぐさまトラックの後を追いかけた。
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「おっ、お前ら何のつもりだ⁉」
金だと思えば銃口を向けられている国王。
椅子から仰け反り硬直している。
「あんた…」
エリナはやっと国王を追い詰める時が来たと思ったのに、それは一人の使用人の登場に中断されてしまった。
しかし状況は好転した。
「国王様、今回の収獲は男8人女5人。移動は先程終わりまして、ヒューマンショップには連絡済みです…おや?まぁ…⁉」
「お前…ッ!だから使えないないんだよッ!」
入って来て早々客に御構い無く手元の用紙をスラスラ読み上げた使用人。
その後場の状況に気付き狼狽える。
ふふふ、いや彼は使えたわよ?
エリナは暴かれた事実にほくそ笑む。
そして子供に対す扱いとヒューマンショップと言うあまりにも残酷な真実に怒りがこみ上げてくる。
「お前…!子供を売って…⁉」
「…何を言っているのだ?」
凄まじい形相で迫り来るエリナに国王は冷や汗をかきながら、その力を現した。
黄金色に光り出す瞳。
妖しくまばゆい光がこちらを捉える。
「操ろうとしたって無駄よ」
「なっ…お前は⁉あの時の…ッ」
マントとカツラを投げ捨て、腰に携えるもう一つの銃を向けたエリナ。