第11章 え?だって一番暇そうだから。
「まぁ、断定は出来ねぇが、もしそうだとしたら思わぬ所でジョーカーの登場だな。調べてみる価値はある」
「じゃあ手貸してくれる⁉」
目をキラキラさせて両手を組みお願いポーズのエリナ。
「あまり長引くなよ」
「よし!じゃあ作戦なんだけど…」
「早っ!!!!」
エリナの作戦はこうだ。
自身の姿がバレている以上、また下手に近づけば国王は力の効かないエリナを殺すに決まっている。
しかし、ラザールの悪事の確証を掴まない訳には話は進まないし、やはり接触は避けられない。
そこでエリナとローは夫婦に変装しエリナはお腹に身籠っている設定で社に出向き、今すぐご奉納をしたいから国王に会いたいと申し出る。
きっと門番は怪しまず二人を中へ入れるに決まっている。
だってもう、洗脳されているのだから。
そこでラザールの尻尾を掴み、決定的瞬間を抑える、という作戦だ。
「ふむ…我ながらに良い作戦だ」
「俺達はどうしてれば良い?」
「ペンギン達はとにかくこの国の情勢を調べて」
「おう!わかった」
「おい待て、何で俺が夫役なんだ」
「え?だって一番暇そうだから」
「テメェ…!」
今にも握り拳が降りかかってきそうでエリナはすかさず距離を取る。
「いやいやだからね、万が一直接対決になった場合でも、ローとなら心配無用かな、と」
上目遣いで物を頼めば、なんだかんだ舌打ちとかするけど最終的には協力してくれる事をエリナは知っている。
「…ったくしょうがねぇな」
「よし、じゃあ早速変装の準備をしましょ!」