第11章 え?だって一番暇そうだから。
エリナは急いで酒場に戻った。
「マスター!この国は騙されているわ!」
勢いよく扉を開け店内に駆け込めば周りの視線が注目する。
「何やってんの、エリナ?」
聞き慣れた声に振り返れば見慣れた顔ぶれがこちらを見ていた。
訊ねるシャチを他所に指をパチンと鳴らした。
なんて良いタイミング。
「ちょっとあんた達!力貸してよ!」
「な、何だよどうしたんだ?」
食事をしていたハートの海賊団御一行のテーブルにドンッと両手を広げ、ヒソヒソと事の成り行きを話し始めた。
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「いやでも、まぁ俺らも連れられてく子供達は見てたけどよ」
「誘拐なんて決めつけるのは…」
大体の話しを聞いたペンギンとシャチは首を傾げエリナの推測に微妙な反応を見せる。
「たしかに見たのよ!狸男の目が光って、鏡を見た瞬間泣き叫んでた親があっという間に態度を変えるのよ?」
エリナが指さす方向を辿れば至って平常そうに皿洗いをしている店主。
「いやまぁでもさ…神とか疑っちゃいないけど…神秘的能力とか超常現象とかさ」
シャチの言葉に今まで黙っていたローも口を開いた。
「他人の崇める宗教に口を出すつもりはないが…もし本当に操られているって言うなら、何故餓鬼らを集めているのか気になるな…」
「キャプテン!」
エリナは一番無関心そうな人物の発言にちょっと驚く。
「何、いつから子供達を救うヒーローになったわけ?」
驚きながら訊ねるエリナをローは睨んだ。
「ちげぇ…裏で誰か糸引いてんじゃねぇかって…」
「ああ…言ってたわね、例の科学者の実験で子供達が犠牲になってる事」
ローが追いかけてる件。
場所だけにあえて実名は避けた。