第9章 動物園か!
なにこれ…?
するとゆっくりと浮かび上がる人間の顔。
それは店主を映した顔ではなかった。
え⁉気持ち悪っ
何なのあの浮かび上がった男…
たぬきじゃん!
「さぁ、我らが神への奉仕だ。生贄を捧げなさい」
キツネ男がニヤニヤと告げると鏡に映ったたぬき男の目が、ゆっくりと赤く光を放つ。
ん?なにこの光…
店主はその光に捉えられ、体を動かせないでいる。
その次、
「ああ…なんて喜ばしい事なの」
「へ?」
支えていたエリナの手を振り払い、店主は二人組の前へ膝まづいた。
「こんな素晴らしき事、光栄に思います。神様の為ならば、喜んで捧げましょう!」
先程までの態度はどこへ行ったのやら。
今度は嬉し泣きをしながら子供と共に深く深く二人組に頭を下げた。
180度ひっくり返ったその変貌振りにエリナは空いた口が塞がらない。
「ふっふっふ…それでこそ神への忠誠だ。さぁ坊や、選ばれた事を感謝致しなさい」
二人組はどこか悲しげな少年を連れ、店を後にした。
エリナは突然の出来事に暫く動けないでいた
。
何だったの…?
気分が悪くなり、カレーは後少し残っていたが金をカウンターに起き、店を出た。