第9章 動物園か!
「うおっ⁉」
突然目の前にぼとんと落ちる物体。
それは小型の電伝虫だった。
手に取り後ろへ振り返る。
「キャプテンからだよー!何かあったら連絡してね!」
全く過保護なんだから…
ていうかベポを経由しないで自力で伝えなれないのかしらあの人。
相変わらずの無表情で愛想の無いローを見てエリナは苦笑しつつも少し感謝し島へ足を進めた。
新世界の端の端に存在する、小さな国ペペロミア。
ここは商業が盛んで、様々な国と交易を結び特に数年前に現王に変わってから、その発展はますます勢いづいたと言う。
また熱帯の気候から、島の至る所珍しい植物で溢れかえる。
それは植物園もある程。
植物マニアのエリナには目が無い島だ。
しかしこの国は別名、神の国と呼ばれている。
「いらっしゃい」
島に上陸して早速エリナは腹ごしらえをと町の中心部に位置する酒場に入った。
恰幅のいい女店主がカウンター越しにドンと構えている。
メニューをさっと流し見て気になったスパイシーグリーンカレーを頼んだ。
この店は女店主一人で切り盛りしているのかと思っていたから、突然の可愛い少年の登場に驚く。
「お待たせ!お姉ちゃん」
「まぁありがとう」
料理を丁寧に運んで来てくれた少年にニコッと微笑む。
「偉いわね」
「えへへ」
癖毛なのかクルクルと金色の髪が楽しそうに遊んでいて、緑色の瞳がとても綺麗だった。
湯気のたつグリーンカレーからは、香草のいい香りが鼻をついて具もたくさん入っていて五感で人を魅了させた。
一口、口に運ぶと予想以上の美味しさに満面の笑みを店主に向ける。
「この一際香りが強い香草は何なの?」
「それはこの島名産のチェリッシュっていう物よ。乾燥に弱くてね、この熱帯の島じゃないと栽培は難しいのよ」
「へぇ」
あるだけ買って行こう、
香草好きのエリナはすぐさま決意した。