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医者と魔女

第9章 動物園か!





楽しい時間は過ぎ去るのが早いとは本当によくそう言ったものだ。
遂にその日は来た。


「島だー!」

予定通り一週間で、目的の島は見えた。


「いえーーい!酒酒〜!」
「やったー!」

喜ぶのも束の間、

「でも…お別れの日か…」

クルーは神妙な面持ちで。
そう。この船には次の島まで、という約束のエリナとはここで別れとなる。

「上陸準備だ」


そんな空気を一刀両断するようにキャプテンは冷静に告げる。

クルー達はお互いの顔を見合わせてから持ち場に着いた。

エリナは甲板から近づいてくるその島をただ見つめていた。

影で確認出来た島も今はその姿をはっきりと見せる。

エリナは深呼吸して目を瞑った。



「ここで良いだろう、碇を降ろせ」

岩陰に寄せ停泊しようとしたその時、ふっと皆の側を通り抜ける風。

「あれ?あっ、エリナ!」
「あれっ⁉いつの間に⁉」


みんなが注目する先は、既に島の大地を踏み締めているエリナ。

「えへへ、みんなー、ありがとねーー!」
「うおー、エリナ!楽しかったぞー」
「元気でなー!気をつけろよ!」

船首に駆け寄り、手を振るクルー。

「ふっ、船が止まる前に行くとは…あいつらしいな」

ローも腕を組みながら、既に背を向け歩み始めたエリナの後ろ姿を見つめる。

ふと、何か思いついたようにベポにある物を渡した。
ベポは少しキョトンとすれば、ローは小さく口を動かす。

「アイアイ!」

気合いをこめてそれを思いっきりエリナに投げた。
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