第8章 ああ悪いベポかと思った。
何かを摘ままれる感触。
振り返ると脇腹のお肉をローに摘ままれていた。
「ちょっと!肉摘まむなあ!!」
「ああ悪いベポかと思った」
「…ッ!、最低!」
さてはぷにぷにもふもふフェチだな、この野郎!
だからその帽子なのか!
ぐるんと椅子を回転し睨みつける。
彼はご機嫌というかご満悦というか何やら楽しそうで遊ばれているような気がして余計に腹が立った。
別の意味で真っ赤な自分が悔しい!
「この変態眼鏡!」
我ながらに勢い良く言ってやったと思う。
腕をつるくらい伸ばしてなんとか背中のジッパーを上げさっさと上着を羽織る。
「後は自分で塗るから、薬貸して」
「短い手で届くのか?」
「……ローくん」
私の怒りはおかげさまで最骨頂。
「また…帽子の中にイモムシ発生させてあげようか?」
「お前昔“私の術はそんな下等な使い方をする為にあるものでは無い”って言ってなかったか?」
「それとこれは別よーーー!!」
その日、船長室から聞いた事も無いような男の悲鳴を聞いたとかそうでないとか…。