第7章 チッ、あの女…っ!
「ねぇロー、素敵な仲間にも恵まれて海賊奉行も順調じゃない」
この数日ハートの海賊団にお世話になって分かったローを取り巻く気のいい仲間とそしてその仲間に慕われている船長である彼。
なんだか私が知らないうちにローは幸せそうで、ちょっぴり羨ましくてそして何処か寂しかった。
「…俺だってお前が新世界まで来た理由を知りてぇ。まぁ悪運と気ままな一人旅って所か」
「むっ、違うわよ、私はこれまで旅をして来て感じた不条理や不平等をなくしたいの。ワンピースを手にするなら、その力を制覇としてでなく善意に使いたい」
「ほう…善意か」
ローは意味深く呟く。
「まぁ私は政府からも海賊からもこの存在を喉から手が出るくらい求められているけど、真っ平御免だわ」
「…世の均等が変わっても可笑しくねぇからな」
「この血をそんな事には使いたくない。せっかくなら平和の為に使いたいわ」
そう、私はこの力を政府とは違い権力や兵器として利用などしたくはない。
今までこの種族が滅ぼされて来た重みと願いを戒めながら。
「悪いが、ワンピースは俺がとる」
「あ〜らどの口が言ってるのかしら?」
「…お前ジョーカーを知っているか」
ジョーカー。
そのキーワードにエリナは片眉が上がる。
「ええ…知っているわ」
重要ポストに立ちながら裏で闇の世界を操っている人物。
「俺はあいつを倒す」
「⁉ 本気⁉」
一筋縄ではいかない相手にエリナは流石に戸惑う。
しかしローの野心に燃えたぎる瞳を見ればエリナは黙った。
ふと思い出すペンギンの台詞。
【俺達はあの眼に惚れたんだよ】
これか。
「奴は人造悪魔の実を四皇カイドウらに売り捌いている」
「人造、悪魔の実…⁉」
耳を疑う言葉。
「しかも噂では頭のイカれた科学者に人造悪魔の実を作らせる傍ら、幼い餓鬼たちを巨人化させ兵力実験しているらしい」
「…信じられないっ!」
子供達が犠牲になっているなんて。
エリナにとって一番許せない事だった。