第7章 チッ、あの女…っ!
「うわ、何その刺青」
通り過ぎるとこれまた背中にも入るそれにたまげる。
「あんたさー、そういう隠れた自己主張の仕方するんだったらもっと表情で表現したらどうなの。DEATHとか入れちゃって…」
憎いくらい引き締まり鍛え抜かれた肉体に正直その刺青は魅惑的で似合ってるから余計むかついた。
「うるせぇよ、ぽちゃぽちゃ」
「はああ⁉⁉」
先程思った事はなかった事にしよう。
一言多いんだから…全く。
ぽちゃぽちゃと言われたのを内心気にしながら膝を抱え、ふてくす。
服を着るローを睨んでいると。
「飯、…美味かった」
「!」
酷く小さな声だったから、一瞬聞き逃がしそうになった。
「…ふふふ、良かったわ」
これが彼の精一杯の表現の仕方なんだろうなって思うと何処か愛おしくて。
「明日から飯、お前も手伝え」
あら、どうやら相当お気に召したようだ。
「…、わかりました」
ニヤニヤしながら答えた。
確かに船に乗せてもらっている以上、何か手伝える事はないかと探していた所だったから丁度良い。