第7章 チッ、あの女…っ!
その晩。
朝釣り上げた巨大イカはエリナの手によって豪勢に振舞われた。
目の前に並べられる美味しそうな品々にペンギンとシャチ、ベポは涎を垂らしながらナイフとスプーンを握りしめる。
「はい、召し上がれ」
「いったっだっきまーす!!!」
エリナは次の品に取り掛かる為厨房に戻る。
後ろから聞こえる称賛の声に笑みを浮かべながら包丁を進める。
「ヤベェ…超うめぇ!!!」
「エリナ料理上手だなぁ!!!」
エリナの考えるレシピとアレンジ方法は食事を任されていたジャンバールも感心する程創造的だが食材を最大限に生かしていて、勉強になった。
「なぁこれなんだが…どうだ?」
ジャンバールにお願いしていたスープの味見を頼まれる。
「うん…いいけどこれならもう少し出汁を強めにとって塩分を少し減らしたほうが良いわ」
「なるほど…わかった!次からそうするぜ」
ジャンバールも腕には自信があったがエリナもなかなかのもので、そのやり方はとても興味深かった。
物凄い勢いで平らげて行く三人を見てエリナはふと気づく。
「ローは?」
いつまで経ってもローの姿がない。
これでは大食い三人衆でなくなってしまう。
「ああ…キャプテンは部屋で食べるんだ。いつもベポが持っていくのさ」
「うそ⁉じゃあ代わりを作らなきゃ」
人数分計算して出していたエリナは急いでローの分も作り始める。
エリナとジャンバールも食事を終え後片付けをしていると、ベポがローの食事を取りに来た。
少し冷めてしまって、時間が決まっていたならそれに合わせて作れば良かったと後悔する。
お口に合ったかな…
そんな事を考えながら部屋に戻るとローの姿はなく、代わりにシャワーの水音が聞こえてきた。
なんだ…。
ソファに座りふと部屋を見回す。
シンプルで物は少ないが寝具やカーテンなど全体的に色調が統一されていて、なかなか良いセンスを感じる。
その分本が多いが。
ーーガラッ
カーテンを開ける音がして振り向くと濡れた頭をタオルで無造作に拭く上半身裸のローがいた。