第7章 チッ、あの女…っ!
「ふあ〜、さっぱりした」
湯気をふわふわ立たせる肌をタオルで拭く。
頭をゴシゴシ拭いているとさっきまではなかったはずの物を発見する。
「まぁ」
カーテンと床の間に置かれた綺麗に畳まれた服。
なかなかやるじゃん。
こういう小さい所での彼の親切に触れちょっぴり嬉しくなった。
さっそく広げると見た目以上に派手な柄と思ったより大きいサイズに驚く。
うわ〜派手。
まぁ普段も黄色いパーカーに黄色に船だもんな…
しかしエリナは気づく。
…下がないじゃない。
パーカーを体に合わせ下を見る。
すると裾が太ももまでくるから一見ワンピースみたく一枚で着れない事もなさそうだった。
ああそうですか、
小さい私にはこれ一枚で充分ですよ。
無駄に背の高いローに内心毒づきながらも素直にそれを着た。
どんな文句を言ってやろうかと意気込んでカーテンを開ければローの姿はなかった。
ちっ…、まぁいいや。
洗濯しなくちゃ。
エリナは借りたタオルと洋服を小脇に部屋を出た。
洗濯場では先客がいた。
「あ、遅かったか」
洗濯板でゴシゴシ洗い物をするシャチの横に佇む。
「ああ、もう終わるよ……!!?」
こちらへ振り返った瞬間手を止めサングラスをとって固まるシャチにエリナは首を傾げる。
「なによ」
するとただ黙って親指を突き立ててきたシャチ。
「ぐー!エリナちゃんッ」
「意味わかんない、ちょっと早くしてくれる?」
どさっと持っていた洗濯物を桶のそばへ落とす。
するとパンツがシャチの足元に落ちた。
「えっ⁉」
女神の悪戯か突然のパンツという物体の登場にシャチは赤面し、パンツとエリナを交互に見る。
「もっ、もしかして今…⁉」
鼻の下を伸ばしながらパーカーの下を覗き込もうとするシャチ。
「いいから、はよしんさいッ!」
その膝蹴りは見事に決まった。
見えたのか見えなかったのかは分からないがシャチが見たかったのはお花畑でヒヨコがぴよぴよ飛ぶ景色ではなかっただろう。
たんこぶを抑えるシャチの隣で洗濯物を干すエリナだったが、下着をおおっぴらに干すのは抵抗があった。
どこか良い所ないかな…
あっ、そうだ!