第7章 チッ、あの女…っ!
悩んだ末エリナはローの部屋の前に立っている。
さっきのイカ事件でかなり機嫌を損ねてしまったようで、今接触はなるべく避けたいが清潔を求める気持ちが先だ。
小さくノックをし返事が返ってこなかったが、控えめにドアを開けてみる。
「なんだ、いるんじゃん。返事くらいしたら?」
聞こえてるのか聞こえてないのか。
反応はなくベッドに転がり本へ向かうロー。
エリナはゆっくりと近づく。
「あの、さっきは船汚してごめんなさい。…シャワー借りたいんだけど」
するとやっと本から顔を出しこちらを見た。
「ああ…あそこだ」
意外にもあっさり許可を出してくれ、少々肩透かし。
しかしそんな事は気にせずやっとシャワーを浴びれる!と足どり軽やかにシャワールームへ入った。
一方ローは、シャワーの水音が聞こえてきて本をパタンと閉じた。
あいつ、着替えあんのか?
コキア島を出た時、船は嵐で流されているし手荷物もなかったはずだ。
それからおもむろに衣服をしまう引き出しを開け、もぞもぞとあさり始める。
上着はすぐ用意出来たが、下が問題だった。
ベルトと言っても男物は規格から違うから使い物にならないし。
適当に手にした上着を広げる。
青とオレンジのチェック柄のパーカーだ。
…悪くねぇ
ローはあご髭をいじりながら何やら目論んでいた。