第6章 ふっふっふっふっ
「うっわー!!エリナスゲぇ!!やったぞ!」
目をキラキラさせ興奮が隠せないペンギンだが巨大イカはここぞとばかりに激しく暴れ出す。
「でも、スゲぇ暴れてるぞ⁉」
「ペンギン、短剣でもいいから、ある?」
「え?…ああ、これでいいか?」
エリナは獲物を見つめる獣の様な表情で唇を一舐めしてから受け取った短剣を握りイカ目掛け走り出した。
「お⁉なんだ⁉」
酷い衝撃音にすっ飛んで出てきたシャチの目の前を風のように通過すれば、シャチはサングラスをズラし開いた口が塞がらなかった。
足から股、そして上半身へと器用にイカの上を駆け上っていく。
さっきまでペンギンの横に居たと言うのに、あっと言う間にイカの頭に回り込んだエリナはその脳天目掛け短剣を一突きした。
途端凄まじく暴れ出すイカだったが最後の足掻きか大量の墨を吐き出し数秒後には気絶したのか大人しくなった。
トンッと着地を決め顔にかかった墨を拭きVサイン。
「よしっ、完了っと。はい、ありがと短剣」
「スゴイエリナ!!」
いつから見ていたのかベポが興奮しながらこちらへ駆け寄る。
シャチもイカに恐る恐る近付きながら吸盤を突っついたりしていた。
これにはジャンバールも、
「なかなかやるじゃねぇか」
と腕を組みご満悦そう。
「えっへへー、そう?」
「でもあんたの事だからその腰に携えてる銃で一発だったろう?」
ジャンバールにそう指摘され腰の銃へ視線を落とす。
「え?あーまぁそうなんだけど、銃で致命傷負わせるより剣で気絶させた方が新鮮で美味しいのよ」
「なるほど」
バチっとウインクを決めればジャンバールは考え深く頷いた。