第40章 魔女がいたことを忘れない。
「なんだよ今ここでやってほしいのか?」
「…ッ、違うし」
「…痩せたなエリナ。ジャンに栄養価の高いモン作らせねぇと」
「ん…、ねぇローそういえばこのままで七武海の立場は大丈夫なの?苦労したんじゃないの?ここまで…」
エリナが心配していた事。
ジョーカーへの道筋に七武海に介入する事を計画していたローが二年の時をかけ、その称号を手にした。
なのに私を連れ出した事で政府を裏切ったことになる。
その二年は決して簡単な物ではなかったはずなのに。
「そんなのはあの日から承知していた事だ。別に…またのし上がればいい」
「………うん」
簡単な言葉で片付けてしまうローだけど。
自らの犠牲や立場を顧みない彼にエリナは深い感謝の念と尊敬を感じる。
そしてまた貴方を好きになる。
「まっ、ローのその悪知恵と計画性があれば、すぐ掴み取れるわよ」
「ああ?なんだと?」
「あ!船!」
エリナが指差した50m先。
見覚えのある黄色い船体が海面上に顔を出している。
そのままゆっくりとこちらへ距離を縮めながら浮上を続け。
その姿は現れた。
「エリナー!!」
「エリナ!!うおーー!!」
「あ〝いだがっだぞーー!!!」
「ったく…あいつらでかい声出すんじゃねぇよ」
千切れそうなくらい腕を伸ばしてこちらへ手を振っているみんな。
どれだけ会いたかったか。
「行くぞ」
辺りを警戒しながらエリナを抱え船へ飛んだロー。
「ひっぐ…エリナぁぁ!!」
さっきから泣いていたのはシャチだった。
もう涙に鼻水にぐちゃぐちゃでエリナはつい笑ってしまいそうなる。
「おい!とりあえず今は急いでこの島から離れる。今すぐ潜水しなるべく遠くへ行くぞ」
キャプテンの一声に感動の再会に包まれていた辺りは一度身を引き締める。
「グズ…ッ、よし来た!」
「アイアイキャプテン!」
「全速力だ!」
「エリナ船酔いすんなよ〜?」
「ふふ、きっとする」