第33章 私、ローの事諦めてないから。
それからジュリアさんのさっぱりした性格と気前の良さになんか似ている所も感じて、すっかり意気投合した私達は気付けば珈琲片手に女子会を繰り広げていた。
終いにはデザートまで用意し出して。
こうして改めて話すととっても気さくでおおらかで。
そんなジュリアさんは船長でもある事を知ってまた私は驚いた。
なんかジュリアさん格好良いな…
こうして気ままに、ふら〜っと船から抜け出しては気が済むと帰るらしい。
ジュリアさんのクルーは大変そうだ。
エリナはハツラツとした表情で話を続けるジュリアに内心苦笑いだった。
「まぁあんな野郎だけど意外と一途な所もあるからさ、優しい眼差しで見てあげてよ」
ジュリアさんの表情はどこか哀愁を帯びているような切なそうな。
「あ、はい」
なんて返したらいいか分からなくて、ありきたりのない返事をしたけど。
私は次、耳を疑った。
「…私、ローの事諦めてないから」
体が、思考が停止する。
「え、今なんて…」
「ふふ…冗談よ」
ジュリアさんは悪戯に微笑んでいるけど、一瞬見せた真剣な瞳が真意を読めなくさせる。
「ま、島に着いたらパ〜っと飲みましょ!ペンギンが今晩には着くって行ってたし?うちのクルーにも会ってやってよ、エリナちゃんを一目見たい奴いっぱいいるからさ」
明るく振る舞うジュリアにエリナは内心複雑な心境で小さく微笑んだ。
ジュリアさんの目、あれは本気だった。
なんだか心の奥で警鐘が鳴り響いている気がする。
気のせいよね…