第29章 そのつまらなさ過去ワースト3に入るで。
「ランプって昔シャチが釣ったやつ?」
「そうよベポ、あれが喋って美女が好きで私の願い事を叶えてくれるんだって。とりあえず皆の願い事を聞いてみようかと思って集まってもらったの」
皆いまいち信用できないのか、硬い表情で押し黙っている。
「本物みたいよ、だからペンギンの願いを叶えて私はこの姿なの」
「ペンギン、良くやった」
シャチは親指を突きたて鼻に詰まるティッシュを更に赤くさせた。
「俺メスの熊がほしい」
「そんくらい自分で見つけろ!」
ベポが手を挙げて元気に発表するもあえなく却下。
「ペンギンは願いが叶ったから良しとして…」
「えっ⁉ちょっと他にちゃんとあるよ!」
「何よ」
「嫁がほしい」
「はい、他には?」
「オイ!」
エリナはこの会を開いた意味が無いかもしれないと内心危惧していた。
「はいはい!俺」
発言権を与えられたシャチが発表する。
「俺は…その…一生女に困りたくない…っ!」
駄目だ、まともな意見がない。
「ジャンバールは?」
エリナは今度はまともな意見が返ってくる事を期待する。
「俺?俺は奴隷の身を解放してもらえただけで願いなんて叶っちまったさ」
朗らかに笑う彼にエリナもつられて微笑んだ。
「そっか、んーじゃあローは?」
ずっと黙って会議を傍観していたローに聞く。
「俺は他人に叶えてもらうような願いなんざ持っちゃいねぇ」
一刀両断。
まぁそんな回答だと予想はしていたが。
すると思いついたのか突然ベポが大きな声をあげた。
「ワンピースを手に入れるってのは⁉」
「「「「「却下」」」」」
全員綺麗に声が揃った。
「えー!どうして?」
つぶらなベポの瞳が揺れる。
「お前それを手に入れるまでの過程が大事でな?」
「そうだぞベポ、つまんねぇだろそれじゃ?」
「……そっか」
制止するペンギンとシャチにベポはしゅんとしながらローを見た。