第27章 一週間レンタルでお願いします。
「大好評第三弾!もふもふ特集…?」
「触らずにはいられない!世界のふかふかな動物たち決定版…」
私はその数秒後、つい吹き出してしまった。
やっぱりローもふもふフェチじゃん!
まさかこんな本を持っていたなんて。
これを読んでいるローの姿を想像すると可笑しくて可愛い過ぎて笑いが込み上げてくる。
「見なかったことにしよう…」
エリナは口元を緩ませながらそっとその本をしまった。
「えー…っと、あ、これよこれ!」
暫く棚を探していたらお目当ての本があった。
一冊所か数冊並んでおり、ホクホクしながらその本達を手にとる。
足取り軽く部屋へ戻ろうと振り向くと。
「ぎょ!」
目を見開いた先には仁王立ちでこちらを鋭い眼光で見下ろしているこの部屋の住人がいた。
「いつ入ってきたの⁉不覚…!」
「だいぶ前だ。何勝手に人の本棚覗いてんだ」
「…ごめん、これ借りたくて…」
エリナの小脇に抱えられた図鑑を見てローは無言でこちらの様子を見ている。
「…別に構わねぇが、お前は借り方ってのを知らねぇのか?」
「………」
痛い所を突かれエリナは口ごもる。
昨夜の情事の後、まともに会話出来る訳ないでしょ⁉
「一週間レンタルでお願いします」
そそくさとその場を離れようとしたのに、それは叶わなかった。
ローに腕を掴まれた。
「おい」
ああ、もう。
「な、なによ」
沈黙が耐えられない。
「…別に……。延滞料金は一日付俺の雑用だ」
「わ、わかったわよ」
なんなのよ今の間は…!
私は彼の手を振り切ってその顔さえ見ず部屋を飛び出した。