第27章 一週間レンタルでお願いします。
それから下腹部の痛みもだんだんと和らいできた私はローの不在を狙って彼の部屋の植物の世話をしていた。
航海室にはいなかったからきっと甲板でベポとお昼寝でもしているんだろう。
能天気な奴め。
人に自分が買ってきた植物の世話を押し付けやがって!
心中で盛大に文句を付けてから一晩水につけて寝かせた種をプランターへ撒く。
「おっきくなれよー」
水をたっぷり上げて、ナイフで自分の指先を僅かに切る。
滴る鮮血を土の中へ一滴零した。
“私だったら枯らさないわよ?”
この指輪と契約を交わした私の血は魔術を授かるだけでなく植物を思いのままに形成したり意思を反映し操る事が出来る。
ただ幻影として出現させたものは成長は出来ないが、こうした生きる植物にはこの血で活力を与えることもまたその逆も可能なのだ。
なんで魔術が植物に由来しているのかは幼い頃母に聞いたけど忘れてしまった。
よく昔は巨大化させた食虫植物がローを追いかけ回したっけ。
悪魔の実を食べてしまった植物の時はあれは酷かった。
彼はまだ絶対根に持っている。
ふと昔の事を思い出して私は頬が綻んだ。
「赤紗と葛根…か」
種の入っていた袋の育て方を読む。
ふとローが植物図鑑を持っていた事を思い出して私は部屋を見渡した。
至る所に本が置かれた状況に暫く思案する。
「他人の趣味を覗く気はないけど…探すか」
どうしてもその図鑑をじっくりと拝見したかった私は意気込んで部屋の片っ端から本と言う本を見て回りだした。
とりあえず部屋に一つある本棚からあたる。
スライド式で収納力抜群のそれ。
海図や世界地図、航海図それから古い医術の本やら医学療法の本までなんだか頭が痛くなりそう。
そして全て分厚い!
サッと全体を流し見て、その後ろに隠れているもう一面を確認する。
ん、なんだこれ…