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【BRM】太陽と鼠【裏】

第2章 光


途中にあるコンビニに寄った。
おにぎりと飲み物と、ガーゼを買って、初めて自分でお金を下ろした。
カードを止められてもいいように、全額。
食べてから何ヵ所かにお金をわけて、大きなお金は靴底に隠す。
なんかの映画で見た真似事。
ちょっと、どきどきする。
ふと雑誌コーナーを見ると、この前の綺麗な男の人が表紙を飾っている。
「…っ!!」
輝いていて、綺麗で、逞しい。
生きる強さが滲み出ている。
外が暗いせいで、雑誌から目を離すと、ガラスに今の自分がうつる。
汚くて、醜くて、兎に角弱々しい。
あんな綺麗な人に一瞬でも同情されたなんて、本当に惨めだ。

コンビニを出ると、また土砂降りの雨。
「……」
傘もささずに、どこで寝泊まりしようか考える。
学校とか、どうしよう。
兎に角、捕まったら戻ってしまう。
それだけは避けたくて、どんどん人通り少ない道を進む。
冷えきった足が痛くて、座り込んでしまった。
泥だらけではもうお店にも入れない。
「はあ…どうしよ……」
俯いていると、急に雨粒が当たらなくなった。
見上げれば、傘。
「今日は傘、持ってんのか?」
にやりと、笑われた。
「!!!」
さっき雑誌で見たばっかりの、余裕の顔があった。
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