第2章 光
私は、何故か、必死に逃げようとした。
「おい!待て!」
長い腕が私のどんくささに追い付かないわけはない。
がっしりとボロボロに濡れたコートを捕まれる。
「更に濡れ鼠な上にボロボロじゃねえか!!」
ぎょっとされて、傘におさめられた。
「来いよ、なんもしねえから」
「……っ」
「なんで泣くんだよ」
「だっ、だって……」
雲泥の差を見せつけられる。
正反対の輝いた存在に、ただひたすら、触れることすら怖い。
「も、放っておいてください…!
私は、貴方に関わってもらえるようなものじゃないです…っ!」
「…行く宛、ねえんだろ?
風呂と寝床くらいは貸してやるから」
な?と聞かれながら、有無を言わさぬ強い力に動かされる。
この強い太陽は、哀れな鼠すら温めてくれるというのか。