第10章 葉
舌を絡め取られ、甘く食まれ、逃げても逃げても捕まってしまう。
呼吸が出来ず、もがきながらその拘束から逃れようとなんとか身動ぎした。
尚も追ってくるその優しいキスに、今は苦しくて、そして逃げたいと思ってしまった。
「ほら、止めろって、言ってみろよ」
「…!!」
私が何も言えないことに気付かれてしまったらしい。
焦りと困惑で、なんとか重なってきた胸板を押し退けようと手を伸ばす。
力の差で敵うはずはない。
目に氷と布を宛てられたまま、空いている手で私の顎をしっかりと抑えている。
「…っ、……!」
深く息を吸おうとしたのに、それをまた阻止され、またどんどんと飲まれていく。
「やめろって言うまで続けるぞ?」
脅されているはずなのに、その声はどこまでも色気があり、どこかそれに反応してしまう。
ひくりと肩が揺れてしまう。
目から光が完全に遮断されてしまっているせいで、要さんの次の動きがいつもよりわからない。
唇が漸く解放されても、緩やかな攻め苦がまたしても私を襲う。
ぴちゃ、と粘膜の音と共に不意に身体に甘い刺激が走る。
割れ目を裂くように舌が這わされ、あまりの恥ずかしさに顔も身体も一気に熱くなる。
「はっ、く、…っ!」
穢いから止めて欲しいのに、またしても言葉に出来ない。
「あっ……!!」
「やっと、声出たな……」
「…っ、ふ、ぅ…!」
それでも持ち上げられた脚は離してもらえそうにないし、ちゅう、と音を立てて吸われ、柔らかく一番敏感なそこに歯を立てられることは止めてくれそうにない。
短い髪に手が触れる。
なんとか退かそうと力を入れても、ぴくりともしない。