第9章 黒
先生がそっと裏口から帰してくれて、なんとか途中の公園までたどり着いた。
あまりのショックに耐えきれなかった気持ちが、身体に反応してしまい、食べた物が全て出てしまう。
嫌悪感で立つことすら出来ない。
見つかってしまうのではないかという焦りで、なんとか這ってトイレに隠れた。
要さんになんとか連絡したいのに頭が働かない。
電話をしてみたが、上手く言えない。
電話のコール音が切れ、聞きなれた声がする。
「……っ、あ、えっと……」
『早く言えよ』
「た、たすけて……!」
『どこだ?』
すぐに勘づいてくれたらしく、場所を端的に聞いてくれる。
『ちょっと、要ちゃん!?』
「…っ!!」
千鶴さんの声が聞こえて、慌てて切ってしまった。
(邪魔しちゃったかも、どうしよ…!)
違う焦りが一気に襲う。
コールバックがされたけれど、出られない。
(追い出されたら、どうしよ……)