第8章 白
罪悪感しかない。
もしお母さんが今痛い目に遭ってて。
その同じ時間、私は好きな人に抱かれる。
逃げたくせに、戻っても何も出来ないくせに。
要さんの今まで以上の優しさが、逆に私を追いつめていく。
「…」
「……っ」
呼ばないで。さわらないで。
でも、安心したくて、結局ソレにすがってしまう。
脆くて醜い。
後ろから包み込まれるように広い胸板が重なる。
罪の意識で死にそうなのに、嬉しくて、触れられているところが全部甘く痺れる。
足の付け根からまた熱がとろりと溢れていった。
着ているままの制服が、汗と蜜で湿っていく。
昼間の光がカーテンから入ってきて、より一層私の罪悪感を掻き乱した。
「集中しろよ…っ」
「…っ、ごめんなさいっ…!」
無理やり首を固定して、後ろから口付けられる。
息苦しさが増していくのに、絡め取られる舌に、どんどん身体が反応していく。
「っ、ぁ、ん、ふ…、ぅ…!」
動きに合わせて、僅かに吐息と声が漏れる。
やっと、何も、考えられなくなりそう。
「か、かな、さん…、なにも、考えたくないの…っ!
ぜんぶ、今だけ、忘れさせて、ください…!」
「…ああ」
身体がふわりと浮いて、繋がったまま体勢を変えられた。
奥の入り口に、楔が痛いほど打たれた。
ぞくぞくとした背中に走るこの痒みも痛みも、何もかもが嫌いになんてなれそうにもない。
「…っ、…!」
「要さん…、要さっ…!ああ…っ」
息も出来ないくらい、溺れていく。