第7章 愛
最後にデザートプレートを並べられると、サプライズでプレゼントを渡された。
「…、この前の、返事だ…」
要さんは、いつもより優しく、そして少し照れ臭そうに顔を赤らめて言った。
「こ、この前の…?」
なんのことかいまいちわからなくて、聞き返す。
「…いや、この前の…」
「??」
首を傾げて、要さんの自信満々の顔が少しずつ歪むのをおかしく思いながら見つめた。
「……は?覚えてねーのか!?」
「ご、ごめんなさい!」
なんのことかわからない、という顔をして、要さんは大きくため息を吐いた。
「この前の…夜中に、好きだって……。
俺が言ったら自惚れてるみたいだろ!!!」
「……え!?え!!!?」
この前の夜、確かに、頭で何回も言ったのは、覚えてる。
(好き、好きです…っ)
どうしようも止めることが出来なくて、熱い息が喉を通る度に声にしてしまいそうで堪えていた。
つもりだった……。
ぱっと、ティースプーンを離して手を顔に当てる。
恥ずかしくて、つらくて、死にそうだ。
(どうしよう、どうしよう!?)
知られてしまった。
スプーンが床に落ちて、慌ててウェイターさんが拾う。
代わりの物が置いていかれる。
そんなことも気にならない。
「ごめんなさいっ!!!!」
「は!?」
「悪気があったわけじゃなくて!その!
本当に、そう、なんですけど……、でも、その……」
「おい、俺を振ったみたいな扱い、やめろ…!」
「と、とんでもないです!!
むしろ、ご迷惑でした、よね……。
あああ、ほんと、ごめんなさい……」
「……」
こんな、気紛れで拾った私に好きだと言われ、しかも同じ空間にいて、さぞご迷惑だっただろうと、落ち込んだ。
「開けろよ…」
「……はい…」
きっと、最後にいい思いさせてやろうと、要さんは気遣ってくれたんだ。
申し訳なくて、このまま海に飛び込みたい。
なんて、思っていたのに、それとは裏腹に、中にはアクセサリーケースが入っていた。
「ぁ、指輪…」
キラキラとした石が私には似合わないくらい光っている。