第1章 雨
びしょ濡れになりながら、速すぎるバイクに乗ってたどり着いたのは、やたら広いおうちだった。
(何部屋、あんだろ……)
「へくちゅん!」
見回してる間に、寒さのせいでくしゃみしてしまう。
変わった造りのおうちに思えたけど、気のせいだろうか。
一室丸々、何もない部屋があるのが少し気になる。
「おい、風呂はこっちだ!」
首を捕まれて、お風呂場に放り投げられる。
「きゃん!」
そのまま制服を脱がされ、熱いシャワーが頭から降りかかる。
(知らない男の人と、お風呂入っちゃった……)
恥ずかしいとすら思えなかった。
私には、もう、そんな感情は……。
乱暴にごしごしと洗われ、適当なタオルを渡される。
「嫌な雨だったな、突然降って」
「………はい」
大きすぎる彼の部屋着を渡され、ワンピースのように着た。
見上げれば、壁のように大きくて、どっしりと構えている。
でも、凄く綺麗。
「助けた駄賃でも貰おうか?」
「ごめんなさい……お金は、なくて……」
「わかってるっつーの。そうじゃねえ」
広いベッドに倒され、覆い被さられる。
「こういうことだ。
ガキには難しかったか?」
「………」
ああ、こんな綺麗な人でもやっぱり…。
ちょっとだけ、がっかりしてしまう。
男の人なんて、皆同じ。
私のそれしか見えてない。
ため息が溢れ、諦めたように身体から力を抜いた。
「わかってんじゃねえか」
おりこうさんだ、と綺麗な笑顔を向けられる。
たった今、袖を通したばかりの服なのに、捲られ、ほとんど裸にされてしまう。