第5章 紅
「妬いてたのか?」
要さんはにやりと音のしそうなほど口角を上げて聞いた。
「ち!違います…っ!
もしそうなら…私、ここにいるの、迷惑だなって……」
なんだ、と吐き捨てられ、頭を撫でられる。
「安心しな。
しばらく、んな予定もねーし」
「…っ、はい…」
なんとなく嬉しくて、見上げて私も少し笑った。
頬が熱かったから、きっと真っ赤になってしまってたかもしれない。
「…」
「…は、はい…」
名前を呼ばれ、見上げれば、おでこに短い髪があたる。
びっくりする余裕もなく、あっさりと唇は塞がられた。
「…っ!?」
やっとそうなったと思ったのは、大分経ってから。