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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


二人を邪魔しないようにリビングで待つとママの腰に手を回して二人で入って来た。


「ただいま」

「おかえりパパ。ただいま」

「おかえりみさき」

いつもこうやってハグしてくれるパパはすごく大きいと思ってたけど、青峰君の方が大きい


家族揃ってご飯を食べるのは本当に久しぶり

「仕事順調か?」

「うん!NYのコレクションもまずまず合格だったかな。あ、大我のCMあたしがメイクしたから見てね」

「CMはタイミング合わないと見れないじゃない」

「そうだけど結構流れるから。あ、それからね、5月はミラノのコレクションの現場で指名貰えた」

「すごいな。しっかりやれよ」



色んなことを話しながら食事を終えてソファでだらけてると、片付けを終わらせたママがパパに「抱っこして」って甘えてる。

見てられない
なんでこんなにイチャイチャするの??
あたしってお邪魔??

完全に2人の世界に入り込む両親を視界から外してソファから立ち上がると、すかさずセルジオも立ち上がった

「一緒にお風呂入る?」

お水があんまり好きじゃないせいか、お風呂って単語にあっという間に方向を変えて逃げられた

つまんないの…


だけど、マンションのお風呂の倍はある実家のバスルームは快適で、スマホを持ち込んでクルーニーの映画を見ながらニタニタと笑ってる

かっこよすぎて溶けそうって思ってたのに……
クルーニーより青峰君の方が好き

こんな事思ってもなんの意味もないって分かってる
青峰君は1年以内に彼女を作るんだから、その時はちゃんと諦めるって決めてる


お風呂を上がって少し早いけどベッドに入って目を閉じた。

あたしが帰るって連絡をするといつも綺麗にベッドを整えておいてくれる

青峰君に抱きしめられて寝るのが幸せすぎたせいか一人のベッドは寂しい

青峰君の優しい顔と広い肩幅、硬い胸板を思い出してクッションをぎゅっとしたけど抱きしめ返してくれる腕がないから余計に寂しさが増してしまった



きっとあたしはこれからこういう夜を何度も過ごす
それでも誰も好きにならないと決めていた時よりは心が軽くて、辛いことから少しだけ解放されたような気がした。


好きになってよかった。


しまった……
お礼を送ってなかった

(送ってくれて本当にありがとう。怪我しないように頑張ってね。おやすみなさい)
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