第7章 近づく距離
自分の見た目がコンプレックスでしかなかった私は12歳くらいから自分でメイクを始めて、いろんな雑誌を買って読んだりして自分なりにメイクを勉強してた。
いくつも雑誌を買ってるうちにお気に入りのメイクは大体同じ人がやってることに気づいてその人のメイクが載ってる雑誌はすべて買ったって言ってもいいくらい買ってた。
写真集とかも被写体が誰かは関係なくてメイクが誰かで購入を決めてた。
15歳の時にその人がモデルを一般募集してメイクのトークショーをしてることを知ったけど応募資格が16歳からだったからその年は応募できなくて諦めて16の歳に応募したけど落選だった。
ここでモデルをすればモデルエージェンシーと契約して本格的にモデルになる道をスタートさせることになるって特典付きだったからモデルになりたい女の子の応募が殺到するわけだからあたしのようなおチビはお呼びじゃない。
でもあたしはどうしてもこの人にメイクをしてほしかったから17の時に応募用紙が付いてる雑誌を見るたびに買い占めて応募して事務所にも直接100通くらい手紙を書いた。
そしたらその人のマネージャー兼秘書って人から電話がかかってきて一度会うって言ってくれたから事務所に行った
それがBOSSの事務所。
あたしを一目見るなり困ったように口を開いた。
『ちょっと、その体格でモデルになりたいって正気なの?』
『モデルになりたいんじゃなくてあなたにメイクしてほしいんです。雑誌だけじゃわかんないし見てるだけじゃ分かんないから直接あなたの技術を肌で感じたいの』
『考えとくわ。それから、もうモデルの応募券が付いた雑誌の買い占めはダメよ 』
軽く笑いながらそう言われてその日は帰らされた。
2週間くらい音沙汰なかったんだけど、そのあと連絡がきてもう一度事務所に来てって言われて行った
『トークショーのモデルはやらせられない。モデルエージェンシーとの共同企画でもあるから契約は変えられない』
『……はい』
『でも、チャリティーのメイクブックを出すからそれでよければモデルの一人としてあなたを使うわ』
だからそれを引き受けた。どんなことをしてもパットにメイクをしてほしかった