第4章 一緒に
あの日から週3日のペースで先輩に会いに行っている。
本心は毎日でも会いに行きたいが、迷惑かもしれないと思ったので週3日。
こんなにも興味を引いてくる人は初めてだ。
先輩の全てを知りたい。
そう思うけれど。
踏み込んだことは、怖くて聞き出せない。
…だって、嫌われたくないじゃん…?
だから今日も他愛もない会話をした。
「今日は一段と暑いっすねー」
「うん」
「そういえば、先輩の好きな季節ってなんすか?」
「冬」
「そうなんすね!俺も冬好きっすよ〜」
「白だから」
「あ!そうっすね!雪って白いっすもんね〜!」
白が好きって言ってたもんな。
今日もまた先輩について少し知ることができた。
しばらくして、下校時刻のアナウンスが流れた。
先輩と俺は、キャンバスやら、椅子やらを片付け、美術室を出た。
「今日もありがとうございました!」
「うん」
「…あの!良ければなんすけど、一緒に帰りませんか?」
「いいよ」
「ほんとっすか!やったぁ!」
そのまま、俺は先輩と一緒に靴箱まで行き、靴を素早く履き替え、先輩の方へ向かった。
帰り道では、さっきの続きで俺の好きな季節の話をした。
先輩とは最寄り駅までは一緒だったが、そこから乗る電車が違ったので、そこで別れた。