第5章 小話
「あーっと質問なんだけどさー」
と、ここまでニヤニヤしながらたまに口を挟んでいた黒尾が少しだけ真剣な顔をして声を上げた
「その名前ちゃん?ってどんな子?」
は?
「オレのカフェでバイトしてる大学生で、ふわふわの猫っ毛の髪の毛で背が小さい子」
何で黒尾がそんな事を聞くんだ
しかもそんな顔で
「スガくんのカフェ…なるほど、やっぱり…あと、あー旭くんゴメン顔怖いデス」
「えっ」
え、俺そんな顔怖い?いつもどおりの顔してたよ!?
「まぁ旭はほっといて、やっぱりって黒尾なんか知ってるの?」
「んーまだ確信ではないけど…その子幼馴染リエーフだっりする?」
「そうだけど…なんで黒尾知ってるんだ!?」
「…え!そうなの!?」
「うん、今ので確信したわ」
いや、なんで黒尾もスガも知ってるんだよ
「いやー、俺仕事は夜からだし昼間たまに大学のバレー教えに行っててさそこにリエーフいるんだけど毎回"幼馴染の女の子"の話ばっかりでよ…しかも黒尾さんには教えませんっつって名前は教えてくんねーの」
「へー、俺は前に名前ちゃんに会いに来てたらしいリエーフがカフェに来てそのとき知ったー」
「………俺だけ何も知らなかった」
「「ドンマイ」」
…へこみそう
それからは他愛もない話をポツポツとして解散した
家に帰ってボスっとベットに寝転ぶ
俺って名字さんの事何も知らないんだなぁ
初めてカフェで会って以来頭から離れないあの笑顔
月に一度か二度程度の配達以外にももっと会いたいと思ってしまうこの気持ち
きっともう自分でもわかっているけど
まだ、この気持ちに名前をつけたくない
もっとお互いを知ってもっと親しくなれたら
この気持ちを口に出してもいいだろうか
こんな事考えていたらまた大地やスガに女々しいって笑われるな、なんて考えてクスッと笑った
因みに次の日はお互い寝坊して15時から買い物に出かけた
小話END