第5章 小話
カフェでスガに会ったその日、家に帰ると経ったようなタイミングで電話が掛かってきた
勿論相手はスガ
「…もしもし」
「おっお疲れ旭!ところで明日の予定は?」
嫌な予感しかしない
「一応、休みデス」
「月島みたいになってんぞー、んじゃこれから飲み行くべ!」
「今から!?」
「まだ20時前だろうが!ほら行くぞ!いつものところにいるから早く仕度して来いよな〜」
んじゃっ!と言い残し一方的に切れた電話
嫌な予感は当たるものだなぁと独りごちながらのろのろと着替える
きっと名字さんの事を聞かれるのだろう、それも根掘り葉掘り
いつもの店というのは少し見つけづらい路地にあるBAR、所謂隠れ家的なやつ
そこの店は高校時代色々と関わりの深かった黒尾鉄朗というやつが一人で経営している
ドアを開けると良いのか悪いのか客はスガ一人
振り向いたスガ同様、ニヤニヤとした顔を向ける黒尾はバーテンダーの服装に見を包んでいるからか胡散臭い
これから阿鼻叫喚となるだろう空間に観念して足を進めた
「じゃあカフェで会ったのが初めてで、その後担当になった地区のお客さんが名前ちゃんだった、それから定期的に配達に行くうちに仲良くなったと…え、それだけ?」
「……ハイ」
「連絡先は」
「シリマセン」
「はぁ……で?前貸してもらったタオルのお礼とやらはまだ決まってないんだろ?」
「…ハイ」
「よし旭、明日13時駅集合な」
「…ハイ?」
こうしてスガと黒尾の質問攻めがやっと一段落したと思ったら明日スガと買い物に行くことが決まっていた