第2章 ハンカチ王子
その後も黙々と寄り添うように隣を歩いてくれる轟君。
イケメンで頭も良くて優しくて。
その上ヒーローとしての素質も充分ある。
『スパダリかよ……。』
轟「スパゲッティ食べたいのか?」
何だよ、スパゲッティって。
パスタでもスパゲティでもなくスパゲッティ。
可愛いかよ。この人欠点ないの?
『今は歩くので精一杯だし食欲なんてとても…』
轟「そうか、じゃあ捕まってろ。」
腕にでも掴まさせてくれるのかと思った私が馬鹿だった。
彼は生粋の天然タラシなのだ。
軽々とお姫様抱っこをした彼はスタスタと外へ向かう。
『ちょっ!!お、降ろしてくれない?歩ける!歩けるから!』
轟「足元がおぼつかねぇ。このままグラウンドに出た方が早い。」
『そ、そうだけど……。』
轟「恨むんならハンカチ忘れたまま我慢して煙を吸い込んだ自分を恨むんだな。」
フッと微笑み正論を告げた彼へ何も言い返すことは出来ない。
更には、もっと周りを頼れ。とまでお小言を貰った。
不覚にもドキッとしたなんて言ってやらない。
『轟君?もう外だし降ろしてくれていいよ?』
とうに外へは出ているというのに降ろす気配は皆無。
轟「……….。」
『え、無視?』
轟「リカバリーガールの所へ行く。」
『まさかこのまんま行くなんて「行く。」………あ、はい。』
もうどうとでもなれ。
————なんて思うんじゃなかった。